会社のずさんなマネジメントに驚きつつも、研究室時代と違って定時後の自由な時間があるのは僕にとってとても嬉しかったのを覚えています。
研究室の時は、ゼミ長という名ばかりの雑用や分析機器の修繕対応などに追われ、自分のやりたかった勉強がやりきれなかったことに後悔していたのでこの時間を無駄にしないと思っていました。
というより、社会人になったらお金をもらって仕事をしているので、研究開発職は自分でも勉強するのが当たり前だと考えていました。(我ながら意識が高い笑)
なので、5万近くする専門書を買って勉強したり、英会話のレッスンを受けたり、会社の業務に関わる分野の本を読んだりと知識を付ける努力をしてきました。
仕事でもわからないことがあったら周りの人に質問してました。
とにかく早く戦力になりたいという気持ちが強かったです。
そしてついに、実習期間が終わり10月に本配属になりました。
「ようやく自分もテーマを与えられて仕事ができる!!」と喜んでいた僕でしたが、すぐにどん底に突き落とされます。
というのも、僕のグループは上司(40代半ば)、先輩(30代半ば)、おっくん(20代半ば)という3人編成だったのですが、まず先輩がノイローゼでいませんでした。(おやおや、穏やかじゃないねえ)
なので、配属されて間もない僕が先輩の代わりに働かないといけない環境でした。
もちろん、いきなり実戦に立てるのはいい経験になります。しかし、1回もやったことない仕事は1人ではできません。
なので、グループの上司に相談するのですが、この上司が教授を彷彿とさせる部下の指導ができない人物でした。
思い出 その1
おっくん「すいません、資料ってどうやって作るんですか?」
上司「そんなの過去の資料見ればわかるでしょ?」
おっくん「過去の資料ってどこにあるんですか?」
上司「なんで、そんなのも知らないの?」
この後、初めての資料作りに苦戦している僕横目でチラチラ見ながらも質問には答えず、資料が完成した後に「このくらいの資料に時間かかりすぎだよね?」と言われたりしてました笑
思い出 その2
上司「おっくん、サッとSEM取ってきて」
おっくん「わかりました。(SEM1回しかやったことないから不安だな、けど聞いても教えてくれないしな)」
上司「終わった?遅くない?」
おっくん「すいません、まだ慣れてなくて、これがSEMのデータです。」
上司「SATのデータは?」
おっくん「SAT?ってなんですか?」
上司「SAT取ってないの?」
ちなみにSATとは分析機器の一つなのですが、配属されて1ヶ月の僕はSATの使い方どころかどの装置がSATなのかも教わっていませんでした。
基本的にデータを取ってくるようには言われますが、装置の使い方は教えてもらえないので教えてくれる先輩に助けを求めるしかありませんでした。
もちろん!上司は助けてくれません。
上司のエピソード挙げればキリがないのですが、とにかく質問しても答えてくれないし、トイレに隠れたりコーヒー飲みにプラプラしてまずデスクにいないことがよくありました。
なので、教えられてないことでもなんとか対応しなければいけないという状況がずっと続きました。
「1回で仕事を覚えろ!!」ではなく「0回で仕事を覚えろ!!」という状態でした。
その一方で、僕の同期は年の近い先輩とつきっきりで色々仕事を教えてもらえるのを見て、自分が会社に期待されてないからこんな扱いなのかな?などと自虐的になっていました。
社会人の人はわかるかもしれませんが、社会人になりたての時に研修などで、「新人のうちしか質問できないぞ」と言われることがあるかと思います。
僕も研修ではそう言われてきました。
けど、新人のうちでも質問も相談もできない組織がこの世には存在します。
ただ、それはあなたが悪いわけではありません。
というのも、質問に答えない人というのは、答えないのではなく答えられないということを強く感じました。
僕の上司も、質問しても「俺も教わってない」とか「学生時代の分野と違うからわからない」などと常に答えない言い訳をしていました。
だから自分を追い込まないでください。
ではどうすればいいかというと、いかに組織を超えたつながりを持つかが大事だと僕は実感しました。
僕はグループの垣根を超えて先輩たちに質問や相談をすることで幾度も助けてもらいました。
先輩たちへの感謝はあったものの、その当時はただただ、この上司の下から早く逃げ出したいと思っていました。
ちなみに先輩がノイローゼになってしまったのも、上司は簡単な仕事は自分で行い、難しい仕事は部下に押し付け早く帰っていたのが原因でした。
もちろん、先輩も相談しようにも上司は相談に乗ってくれませんから、1人で抱え込んでしまい精神をやられてしまったようです。
基本的にこういう上司は責任を負う事を死ぬほど嫌がります。
そんな中、新人の僕が先輩の代わりに入ることになったので、僕は配属されて1ヶ月で会社を辞めることを考え始めました。
せっかく、辛い思いをして研究室を卒業したのに、どうして自分ばかりこんな目に遭うんだと思っていました。
希望に溢れた社会人生活を見事に打ち砕かれた僕は、精神的に不安定でした。
そして、怪しいビジネスの勧誘が友達から舞い込んできました。
その時は、まさか自分が怪しい誘いに乗るとは思いもしませんでした。
次回はそのことについて書いていこうと思います。